「with...」若き女性美術作家の生涯河合町上映会

榛葉健

榛葉 健
Takeshi Shiba

ドキュメンタリー映画監督、テレビ番組プロデューサー

〈 14年目の出逢いに… 〉

「with…若き女性美術作家の生涯」は、
日本のテレビ局のビデオドキュメンタリー番組で
史上初めて映画化した作品です。
2001年の劇場公開時、
まだハイビジョンでもないビデオを
スクリーンで上映することは、
画質の良いフィルムが前提の映画界では
非常識なことでした。

一方、放送界からも
「ドキュメンタリー映画は採算が取れない」
としてトライする空気は皆無でした。

それでも「with…」を映画にしました。
理由は明快です。

「テレビで放送して終わり」には出来ない、
映画にすることで、
長く未来に伝えなければいけない、
強い動機があったのです。

その動機が何なのかは、
映画をご覧頂ければすぐに分かって頂けます。

かつて映画が完成してすぐの2002年1月に
私はこんな挨拶文を書きました。

この作品は、決して「消費」としての映画では
ありません。
私は『with…』を、5年後、10年後でも
鑑賞に堪えうる普遍的な作品として制作しました。

主人公・佐野由美さんの生き様は、
どこの世でも、いつの時代でも、
普遍的に求められる人間の真理を
明快に示してくれています。

ぜひ、ご覧下さい。
そして、感じて下さい。
『with…』が描く人間愛の世界を自由な心で
受け止めて頂いたら、
きっとこの星は、少し変われるように思います。
皆様のご鑑賞を、心からお待ちしております。

2002年1月
映画 『with…若き女性美術作家の生涯』
完成に寄せて

今見れば、少し気恥ずかしい気負いが漂っています。
ただ、「5年後、10年後でも鑑賞に堪えうる作品」
という確信はありました。
「必ずたくさんの人々に、何かを感じてもらえる」と…。

今回、奈良で上映と、佐野由美さんの作品展を
してくれる若者たちは、
7年前、23歳前後で上映してくれた、仲間たちです。
7年経っても変わらぬ想いがある。
彼らの人生の中で、
大切に育んでもらっていることが、何よりも嬉しいです。

多くの皆様に、映画と美術を通して
佐野由美さんと出逢って頂けることを、
願っています。

『with…若き女性美術作家の生涯』
監督 榛葉 健

監督プロフィール

1963年東京都生まれ。
1987年、毎日放送入社。社会派のドキュメンタリーから、歴史、自然番組、 スポーツドキュメントまで幅広く制作し、日本テレビ技術協会賞、 関西写真記者協会賞、坂田記念ジャーナリズム賞など多数受賞。

世界最高峰チョモランマの取材では、登山家たちが放置する大量のゴミを 世界のテレビで初めて告発。同時に2年間かけて南北両側から撮影した 「幻想チョモランマ」は海外でも放送、高い評価を得た。

1995年以降、阪神・淡路大震災関連のドキュメンタリー15本を制作。 そのうち『with…若き女性美術作家の生涯』は、2000年に初放送し、 「日本賞・ユニセフ賞」、「アジアテレビ賞」、「ニューヨーク祭優秀賞」、 「上海テレビ祭」など受賞。世界的反響を受け、 2001年、日本のビデオドキュメンタリー番組として史上初めて映画化。

東日本大震災の発生後は、私費を投じて2年間、宮城県南三陸町などに通い続け、 「うたごころ」シリーズを制作している。